MS-IMEで数字変換する場合

カテゴリー: ITのハナシ

(投稿者:河野周輔)

ATOKではなく、MS-IMEを使用する場合の数字変換の方法について記載してみます。

MS-IMEにもテンキーから数字を入力する際に、常に半角数字で入力するように設定することができます。MS-IMEのプロパティから「テンキーからの入力」という設定がありますのでここを「常に半角」とします。


これによりテンキーから入力された数字は常に半角数字で入力が行われるようになります。次のような感じです。


ATOKには、日本語入力モードでもテンキーから入力した数字はEnterキーを押すことなく、即時に確定できる機能があるのですが、MS-IMEにはそのような機能はないと思います。MS-IMEの場合、テンキーで数字を入力した後、Enterキーで確定させる必要がありますのでATOKと比べるとワンストローク、キー動作が多くなってしまうところが不便なところです。

また、MS-IMEで日本語入力モードで入力した数字をスペースキーで変換する場合には、半角又は全角の桁区切り数字を変換候補から選ぶことができます。これについてはATOKと違いはありません。

ATOK/数字変換の種類

カテゴリー: ITのハナシ

(投稿者:河野周輔)

ATOKで数字を変換する場合、変換のやり方が3種類あって、それぞれ使い分けるようにしています。

まず、前回の記事で紹介した設定を行っていると、テンキーからの入力が直接数字が半角で確定されます。エクセルでセルに数値を入力する際にはこのテンキーによる数字入力が適しています。

次に、「123,456」というふうに、半角数字で、かつ、カンマで桁区切りを行いたい場合に、ATOKでは次の設定を行うことで半角の桁区切り変換を行うことができます。


ATOKには「推測候補」という機能があって、これは日本語入力中にTABキーを押すと変換の推測候補をATOKが表示してくれる機能です。上の設定を行っておくと数字を日本語入力モードで入力しているときにTABキーを押すと、半角の桁区切り文字が変換候補として表示されますので、これを選択します。この推測候補は全角桁区切りに変更することもできます。


この変換は、メールや文書内で半角桁区切り数字を使用したいときに使います。

最後に、「123,456」というふうに全角数字で、かつ、カンマで桁区切りを行いたいときの方法です。Word文書で全角数字で、かつ、桁区切りを行いたいときなどです。これは、普通に「123456」と入力してスペースキーで変換を行えば候補から桁区切り数字が出ますのでそれを選択します。

この変換方法は、全角数字、半角数字どちらも選択することができますが、スペースキーによる変換の場合は、前回変換したものが記憶されていて、前回変換したものを一番最初に変換候補として登場してきますが、TABキーによる変換の場合は常に設定により決めた数字変換(半角桁区切り)が行われるというところが違いです。

ATOK/数字変換

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(投稿者:河野周輔)

ATOKで、数字を変換するときに便利な機能がありますので、ご紹介します。この方法は、キーボードのテンキーから数字を入力するときに、必ず半角で、確定文字で入力することができます。ATOKのプロパティから次の設定を行います。「テンキーからの入力を必ず半角にする」にチェックし、さらに「確定文字で入力する」をチェックします。


こうすることで、日本語入力モードであっても、テンキーから入力された数字は変換を経ることなく、入力された時点で確定済みとすることができます。エクセルで日本語入力を行いつつ、数字も入力する場合にテンキーから入力された数字は、そのまま確定済みの数字となりますのでエクセルの文書作成効率がアップします。

(投稿者:河野周輔)

地方税の利用届の提出処理についての続きです。
お客様の会社情報を入力した後、下の方にある「関与税理士の有無」のところで、有りを選択します。これを選択することにより、この後の電子証明書の付与を省略可能になります。


お客様の会社情報の入力が完了して、先に進むと、電子証明書の付与が求められますが関与税理士を有りとしていると、付与は省略できます。地方税の電子申告の手続を、納税者の電子証明書ではなく、税理士の電子証明書で行うことになるためです。

(投稿者:河野周輔)
(注)2014.10.27時点の流れですので今後変更される可能性があります。

地方税の電子申告の利用届の提出は、留意点が多いですので備忘として記載しておきたいと思います。最初の開始は、ここから入ります。入り口が画像になっているため、ボタンのつもりで探していると、いつまでたっても見つかりませんので注意が必要です。


el-taxサイトのJavaバージョンは、最新のバージョンではなく、古いバージョンでないと動作しませんので、「お使いのJavaバージョンは安全ではありません」と警告されてしまいますが、無視します。「後で」を選択して進みます。


「このアプリケーションを実行しますか」と表示されますので、実行します。


「納税者」または「税理士等」を選択します。税理士がお客様のために届出を行う場合は、「納税者」です。税理士がまだ一度も電子申告の代理手続を行ったことがない場合は、「税理士等」です。


提出先の地方公共団体を選択します。


東京都の場合は、提出先がどこの都税事務所であっても「東京都」を選択します。この後の入力で、どの都税事務所に提出するかを選択することになります。


「東京都」が選択できたら、「利用届出作成」ボタンを押します。

ATOK/曜日変換2

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(投稿者:河野周輔)

ATOKは、好きな日付フォーマットに対して、曜日情報を付与することができます。曜日を付与する場合、次の操作を行います。

ATOKプロパティより、日付のフォーマットを追加します。

曜日情報を付与したい日付フォーマットを選択した後、曜日の選択から、曜日フォーマットを選択します。

これにより、曜日が付与された日付が追加されました。

変換候補から、曜日付の日付を選択することができるようになりました。

ATOK/曜日変換1

カテゴリー: ITのハナシ

(投稿者:河野周輔)

ATOKには、曜日に関しても便利な変換機能があります。お客様とメールやチャットなどで、打合せを行う日を詰める場合に、次の水曜日に打合せをしたいとすると、「すいようび」と入力して変換を行います。すると、変換候補の中から、来週の水曜日の日付を選択することができます。ちなみに「すいよう」だけでも同様の変換が可能です。

曜日から、日付を持ってきたいときに便利な機能です。

ATOK/日付変換3

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(投稿者:河野周輔)

私は、ほとんどの場合にWindowsファイルの先頭に日付を付けます。時系列でファイルを表示させることができる点と、税理士の仕事は昨年やった仕事を今年も同じように行うケースが多いですのでファイル名に日付が付いていると、昨年やった日付がいつであったのかが参考になるためです。

そこでファイル名の先頭にどのようなフォーマットで日付を付けるのかのルールを定める必要があるのですが、主に次の方法が考えられると思います。

これのどれかを選ぶ形になると思うのですが、どれを選ぶかは好みになるでしょう。私は年月日の区切りがピリオドであった方がぱっと見で見やすいので、「YYYY.MM.DD」とするようにしています。ATOKはこのあたりのフォーマットを多岐から選択することができるのでありがたいです。ピリオド区切りにしておくと、MMのところの「月」が見やすくなって、何月に作成したファイルであるのかが認識しやすくなるので個人的にはこれが好きで、ずっとこれで統一しています。

ATOK/日付変換2

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(投稿者:河野周輔)

ATOKで「YYYY.MM.DD」のフォーマットで日付変換を行うようにするには、次の手順で行います。メニューからプロパティ(環境設定)を選択し、


「変換補助」の中にある「日付」を選択します。


最初は「YYYY.MM.DD」のフォーマットが選択できませんので、追加を行います。


日付のプルダウンから、追加したい日付フォーマットを選択することができますので[yyyy.MM.dd]を選択状態にして、OKにします。[yyyy.M.d]は、2014.8.8のようになってしまい、ゼロ埋めがされませんので選択しません。[yyyy.MM.dd]の方を選択します。


最後に、「上へ」ボタンを押して、[yyyy.MM.dd]が一番上まで来るようにします。一番上にすると「きょう」で変換したときに一番最初に登場するようになります。

ATOK/日付変換1

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(投稿者:河野周輔)

ATOKには日付の変換に関して便利な機能があります。「きょう」と入力してスペースキーを押すと、「2014.10.20」と変換されます。つまり、その日の日付を「YYYY.MM.DD」形式で変換してくれます。この変換を使う理由は、Wiondowでファイルを作成するときに、ファイル名の先頭に日付を付けると後でファイルを探すときに見つけやすいためです。ファイル名の先頭に日付をつけると次のような形でファイルが並びます。

有り難いのは、月と日付が1桁の数字である場合にはゼロで埋めてくれるところです。2014年1月1日は、「2014.01.01」と変換してくれます。ゼロで埋めてくれるおかげで、日付の数が必ず年→4桁、月→2桁、日→2桁と揃いますのでファイラーでファイルを一覧表示させたときに日付の桁数が揃ってファイル名が見やすくなります。

ATOK

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(投稿者:河野周輔)

パソコンは本当に便利なものでして、今や仕事、趣味を問わずあらゆる領域で大活躍してくれており、我々の生活には欠かせない存在になってしまっています。

また、インターネットで検索すれば便利なソフトウェアを無料で使用することができます。「こんなに便利なソフトが無料で使えていいの?」と思えてしまうフリーソフトがたくさんあります。便利なフリーソフトがありすぎるために、えてして、パソコンで使用するソフトは無料でないと使わないという気持ちになってしまいます。

便利なソフトが無料で手に入る時代ですが、それでもお金を払ってでも使いたいと思わせるソフトがあります。別に、その有料ソフトを使わなくとも仕事ができなくはないのですが、少しのお金を支払うことで仕事の快適度が大きく向上するので欠かせない相棒になっています。私がお金を払って使用しているソフトは色々あるのですが、お勧めしたいのがATOK(エイトック)とDropbox(ドロップボックス)です。

ATOKは日本語入力変換ソフトです。Windowsに最初から入っている(デフォルト)の日本語変換ソフトはMicrosoft-IME(MS-IME)でして、日本語の入力・変換の効率にこだわらない方は、このデフォルトのMS-IMEをそのまま使用していると思います。仕事で、毎日8時間パソコンに向き合っているのであればMS-IMEではなく、お金を払ってでもATOKを使用することを是非、おすすめします。

Dropboxについては、また別の機会に書いてみたいと思います。

(投稿者:河野周輔)

既に雇用している従業員について、1回の賞与が150万円(厚生年金保険の上限)以上支払われている場合、又は150万円に近いところで支払われている場合には、月給を賞与に回すと厚生年金保険料の節約ができます。

これは、厚生年金保険がかかっている月給を、かからない賞与に回す方法です。

従業員にとっては毎月の給与が減ってしまうのですが、その分賞与を増やします。期末で賞与を支払うと、従業員の生活設計が大きく変わってしまう可能性がありますので、会社の資金繰りに余裕があるのであれば賞与を年の早めに支払ってあげるなどの考慮も必要でしょう。月給を賞与に回してまで厚生年金保険料を節約しようと考える会社がどれくらいあるかはわかりませんが、制度としては可能です。

(投稿者:河野周輔)

標準報酬月額をギリギリランクアップさせない方法は、今後、新しく雇う従業員についてはギリギリランクアップしない給与テーブルを用意して、それに当て嵌れば社会保険がかからない月額給与を作り出すことができます。

既に雇用している従業員ですと、ギリギリランクアップしない給与にしようとすると既に支給している給与を上げるか、下げるかを行う必要が出てきてしまいますので、上げるのは会社の利益が減るのでやりたくないですし、下げるのは従業員の士気が下がるのでこれもやりたくありません。こういったとき、賞与を支給している会社であれば、賞与の一部を月給に持っていくことで社会保険料の削減ができます。通勤手当込みで月給380,000円であった人について、毎月賞与から14,990円を持ってくるようにしたのが下の図です。
これまで社会保険がかかっていた賞与を、社会保険がかからない月給に回すことで回した賞与分の社会保険料が削減できます。なお厚生年金と健康保険のどちらも削減するためには賞与は150万円以下であることが必要です。150万円超である場合には、健康保険料の削減しかできません。

(投稿者:河野周輔)

これまで書いてきた社会保険料を節約は、すべて社会保険がかからない部分の給与を作ることによって支給される給与に対して社会保険の支出を抑える方法です。

標準報酬月額をギリギリ、ランクアップさせない方法は、月給についてなるべく多くの金額を社会保険料がかからないように設定して社会保険の支払いを抑えます。

賞与を月給に回す方法は、厚生年金保険料について既に月給で上限になっている人については、賞与を月給に回すとそれ以上厚生年金保険料がかかりませんので厚生年金保険料の節約になります。ただし、この方法が有効なのは、「厚生年金保険料について既に月給で上限になっている人」つまり、月給605,000円以上である人なので誰でも使えるわけではないというところに注意です。

賞与をまとめて150万円以上にする方法は、賞与をまとめて支給することで150万円超の金額を作り出し、厚生年金保険料の節約を行います。これも誰でも有効というわけではなく、合計して150万円超を作り出すことができないと使えません。

(投稿者:河野周輔)



上図のように賞与を月給に回すと賞与分の厚生年金保険料を節約することができるのですが、賞与の前払になってしまいますので資金繰りを悪化させてしまい、経営者の立場からすればやりたくない方法かもしれません。

資金繰りを悪化させないで、賞与の社会保険料を節約する方法もあります。事業年度開始から6ヶ月目と、12ヶ月目の年2回賞与を支給している会社についての節約法法について記載してみます。これは、厚生年金保険は1回に支給する賞与の上限が150万円であるということを利用したもので、2回支給しているものを1回にまとめてしまって賞与の上限額に達するようにする方法です。


図のように、2回に分けて100万円ずつを賞与として支給すると、それぞれの100万円に厚生年金保険料がかかります。一方、100万円を2回に分けずに1回に合計して支給すると厚生年金保険料の賞与上限は150万円となっているため、200万円のうち50万円については厚生年金保険料がかからなくなります。

1回目の賞与を後ろに持っていくことで会社の資金繰りをラクにして、かつ、厚生年金保険料の上限額150万円に達せさせることにより厚生年金保険料を節約することができます。

(投稿者:河野周輔)

厚生年金の標準報酬月額は、上限金額がわりあい低く設定されています。月給が605,000円になれば、これ以上月給が増えたとしても厚生年金保険料は増えません。月給605,000円が厚生年金保険の上限になっています。ちなみに健康保険の月給上限は1,175,000円でして厚生年金保険の倍近くの金額になっています。

月給700,000円のサラリーマンについて、厚生年金がどのようにかかるかを次の図で示します。
黄色の部分が厚生年金がかかる給与で、灰色の部分が厚生年金がかからない給与です。

ところで、賞与は総報酬制が導入されてからは社会保険の対象になりましたので賞与から社会保険料が徴収されてしまいます。下図のように賞与は厚生年金保険の対象となります。

この120万円の賞与を厚生年金保険料が上限に達している人に対して12分割して月給として支払うようにすると厚生年金保険料は上限に達しているわけですから厚生年金保険料はかかりません。
この方法を採った場合、賞与が年間120万円であるとすると、120万円×17.474%=209,688円の厚生年金保険料の減少になります。サラリーマン側での減少額はその半分ですので104,844円、社会保険料が減少するということになります(他方、社会保険料控除が減りますので104,844円×所得税住民税率だけ、所得税住民税が増加します)。

(投稿者:河野周輔)

現在では、会社から賞与の支給が行われると健康保険については11.69%、厚生年金保険については17.474%の率(労使合計)で保険料を支払わなければなりません。このように月給と同じような形で社会保険料を支払わなければならないようになったのは平成15年4月からですので今から11年前のことです。それまでは今のような高い健康保険料率、厚生年金保険料率で保険料の徴収が行われていなかったので月給は少なめにして賞与を多く支払うと、賞与は社会保険料を負担する必要がない分、社会保険料の節約になっていました。

平成15年4月から賞与について、月給と同様の社会保険料負担が行われることを「総報酬制」と言うのですが、それまではわざと月給を抑えて、その分賞与を多く支払うようにしていた会社も多かったのですがこの総報酬制が導入されることによって多くの会社で従来の給与と賞与の金額バランスが見直されることなりました。

ところで、平成15年4月からの総報酬制が始まるまでは、まったく賞与から社会保険料が徴収されていなかったというわけではなく今よりもずっと低い率で「特別保険料」という社会保険料が賞与から徴収されていました。これは、平成7年4月から平成15年3月までの期間で、健康保険・厚生年金合わせて1.8%でした(会社負担が1.0%でサラリーマン負担部分は0.8%)。このときも会社が従業員に支払った実際の賞与支給額(1,000円未満切捨)に料率を乗じて算出した保険料を納付するという仕組みでして、月給のような標準月額報酬のグレード当て嵌めはありません。

平成15年4月以降の「総報酬制」において、料率を乗じる金額が実際賞与支給額としているのは、この平成7年4月からの特別保険料の計算の方式を踏襲しているから、とも言えると思います。

(投稿者:河野周輔)

社会保険料計算の特異性1では、毎月の給料から天引きされる健康保険料・厚生年金保険料の計算は「標準報酬月額」という実際の支給金額とは少し違ったものを使用するということをご紹介しました。

では賞与を支給されたときの健康保険料・厚生年金保険料はどのように計算するかというと、「標準賞与額」というものに保険料率を乗じて算出するのですがこの「標準賞与額」は標準報酬月額のような等級が定められておらず、実際支給額をそのまま使います。ただし、1,000円未満の端数は切り捨てますのでたとえば賞与額が432,625円だとすると、1,000円未満切り捨てで432,000円が標準賞与額になります。

毎月の給与から天引きされる社会保険料は、標準報酬月額というアバウトな金額を使うのに対して賞与はなぜか実支給額を使うというチグハグな方式になっています。なぜそうなっているのか、推測なのですが書いてみます。いざ年金事務所が総合調査を行う機会があったときに賞与の社保金額が正しいかどうかを確認するチェック労力は、賞与ですので通常年に1回か2回程度です。それくらいの少ない回数であれば給与台帳の実支給額と被保険者賞与支払届が一致しているかはラクにできます。

厚生労働省「賞与は支給回数が少なく、賞与だったら賃金台帳と賞与支払届が一致しているかのチェックは負担にならないから標準賞与額は実際支給額と同じということでいいや。毎月の給与の社保計算が、もし賞与みたいに実際支給額から計算するんだったらそれが毎月毎月、正しいかどうかを検証する体制を年金事務所が持っていなければいけないけど、そんな体制を構築するのはお金もかかるし、仕事も増えるし、ものすごく大変だからアバウトな標準報酬月額方式で本当に良かった。標準報酬月額方式であれば、基本、1年に1回しか等級が変わらないから毎年9月(10月)に等級が変わっているかということと、9月(10月)以降の社会保険料が同じ額でずっと続いているかをチェックすれば大体は間違いないだろうからね。」

(投稿者:河野周輔)

これまで見てきましたように、通勤手当は健康保険と厚生年金保険の規定によって標準報酬月額の計算に含まれます。

私が過去に見たある会社は、通勤手当を給与支払いのタイミングとは別で支払っている関係で給与明細には通勤手当の金額は記載しないようにしていました。そして、標準報酬月額を計算する算定基礎届には、通勤手当を含めずに標準報酬計算を行っていました。年金事務所の総合調査により、提出された算定基礎届と賃金台帳をその会社はチェックされましたが、このとき、特に通勤手当のことは言及されずに、通勤手当を含んでいない金額で算定基礎届が受け付けられて標準報酬月額が決定されました。ある従業員は標準報酬月額の等級範囲のギリギリの給与でしたので通勤交通費が加算されると、本来ランクアップするはずでした。

この会社は、従業員が自宅から直接、お客さんのところに訪問したり、お客さん先から帰宅したりする関係で、交通費は全てチャージにより精算していました。また、自宅から会社への通勤についても管理の簡便さから定期を購入せずにチャージですべて精算していました。こういった関係で給与明細には通勤交通費は掲載せずに給与とは別で交通費を支払うという処理を行っていました。

年金事務所の総合調査は調査する職員がどこまで厳密にチェックするかは、その職員によって違うこともありえますので、このようなことが通ったのでしょう。このようにすれば通勤交通費を含めずに標準報酬月額が計算できてしまう、ということを言っているわけではなく、年金事務所の現場ではこのようなことも起こりうるという一事例を記載してみました。調査する職員によってはキチンと指摘してくると思いますのでご注意ください。

(投稿者:河野周輔)

標準報酬月額を、給与に対して低くするために表のように月給を定めた場合に、これまで述べてきましたように問題となるのが残業代と通勤手当です。

少し話は横道に逸れますが、上の給与テーブルは純粋に標準報酬月額に対応させていますので等級による金額の間隔が2万円であったり、3万円であったりして間隔金額が大きいです。給与テーブルの間隔は5千円刻みであったり、1万円刻みである方が使いやすいですので、そのような刻みにしたときに月給<標準報酬月額となるのは、それはやむを得ないです。この節約手法は、給与テーブルで定める給与を185,000円のままにするのではなくて、ワンランク上がらないように184,990円にするのが社保の節約になりますよという考え方です。

残業代により4月・5月・6月の報酬がブレてしまわないようにする対策はわりあい、簡単です。みなし残業の制度を導入できれば残業時間が発生しても毎月の報酬は固定化できます。

やっかいなのは通勤手当です。一般的に冒頭の表のような給与テーブルを作ると通勤手当込みではなく、別途で通勤費が支払われますということの方が多いです。サラリーマン側からしてみれば給与テーブルにある金額は労働の対価のみであって自宅から会社まで通う費用については会社が別途出して当然でしょ、と考えるのが自然だからです。会社側の立場でも、当然その考え方をするところの方が多いでしょう。給与テーブルにある月給が通勤手当込みであれば会社からの遠い近いの差で労働の対価が変動してしまうのは不自然であると感じてしまうからです。

ただ、それだと通勤手当は人によって変わってくるので標準報酬月額がギリギリ上がらないところに報酬を定めることは不可能になってしまいます。やはり、通勤手当込みでの給与テーブルとして考えなければなりません。給与テーブルの金額が通勤費込みとするために会社は従業員に次のように説明することになるでしょう。

「会社があなたたちに支払う給料も通勤手当もどちらも会社から出て行くお金です。給与テーブルにある月給は、その等級に当てはまる人に会社が出せるお金です。会社から遠い人には近い人と比べてその分多く通勤手当を出すということはありません。あくまでトータル金額で給与テーブルにある金額しか支払うことができません。どこに住んでいようとも給与テーブルにある月給から各人が通勤交通費をまかなってください。なお通勤交通費部分は所得税法上、非課税になりますので各従業員は毎月の通勤交通費を教えてください。給与明細にはその金額について通勤手当として記載します。」

(投稿者:河野周輔)

4月・5月・6月の標準報酬計算で注意が必要なのが、通勤手当(通勤費)です。自宅から会社までの交通費のことですね。標準報酬計算では、この通勤手当も報酬に含まれます。税金(所得税)の世界では、通勤手当というのは受け取るサラリーマンにとって非課税です(月10万円まで)。これに対して社会保険の世界では通勤手当は報酬に含まれてしまい標準報酬月額に影響します。税金と社会保険で考え方が180度違いますね。自宅から会社までの交通費がかかる人ほど、標準報酬月額が高くなり、社会保険料も高くなってしまいます。会社もまた、社会保険料総額の半分を負担しなければなりません。

通勤手当は所得税法で「非課税」となっています。考え方としては通勤手当もサラリーマンが会社からもらえる収入には違いないです。収入にはなるんだけども、自宅から会社に移動するために費えてしまう金額であり、通勤手当によってサラリーマンが儲かるわけではなく、それに対しても所得税をかけてしまうのは酷だから非課税にしてあげましょうという考え方なんだろうと思われます。

社会保険の世界では通勤手当も報酬に含まれてしまいますので、この表の赤い部分の月給について通勤手当を含めたところでの金額にしないと、青い部分の標準報酬月額にはならないです。

ですので月給484,990円として上の図を使うには、毎月の交通費が50,000円の人は、給与が434,990円、交通費が50,000円(合計484,990円)という内訳となり、毎月の交通費が10,000円の人は、給与が474,990円、交通費が10,000円(合計484,990円))という内訳にしないと青枠の標準報酬月額470,000円にはならなくなります。

(投稿者:河野周輔)

標準報酬月額のランクが上がらないギリギリのところになるように給与を支払うことが社会保険料削減につながるということでしたが、そもそも標準報酬月額がどのように決められるかをわかっておく必要があります。

標準報酬月額は毎年、4月と5月と6月の3ヶ月間の平均報酬額で決定が行われます。3ヶ月間の平均額ですので、(4月報酬+5月報酬+6月報酬)÷3という式で算出されます。

この「報酬」には、まず基本給が含まれます。また、給与に上乗せして支払われる各種手当ても含まれます。家族手当、役職手当などです。これらの手当は通常、定額ですので毎月同額での支払いになります。一方、月によって金額が変わってくる残業手当(残業代)についても標準報酬月額に含まれます。ですので4月・5月・6月の残業代が多いと、それにより標準報酬も高くなるということになります。

1年を通じて、たまたま4月・5月・6月だけ残業代が生じてしまい、その3ヶ月の平均報酬が30万円であり、他の月は20万円であった場合でも標準報酬月額は30万円になってしまいます。この場合、年収に比して社会保険料は高くなります。逆に、4月・5月・6月だけ残業がなくその3ヶ月の平均報酬が20万円となり、他の月では慢性的に残業代が生じて平均報酬が30万円となるとしても標準報酬月額は20万円となります。この場合、年収に比して社会保険料は安くなります。

標準報酬は以上のように算出されますので、社会保険料支払いの削減方法1で書いた方法を会社従業員に適用させるには、その従業員の月給を残業代により変動させないということが必要になってきます。だからと言って4月・5月・6月は残業をするな、とか残業をしても残業代をつけるな、というわけにはいきませんのでこの社会保険料支払いの削減を行いたいのであれば「みなし残業代(固定残業代)」を導入して4月・5月・6月の給与を固定化させる管理が必要になります。

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