(投稿者:河野周輔)

これまで見てきましたように、通勤手当は健康保険と厚生年金保険の規定によって標準報酬月額の計算に含まれます。

私が過去に見たある会社は、通勤手当を給与支払いのタイミングとは別で支払っている関係で給与明細には通勤手当の金額は記載しないようにしていました。そして、標準報酬月額を計算する算定基礎届には、通勤手当を含めずに標準報酬計算を行っていました。年金事務所の総合調査により、提出された算定基礎届と賃金台帳をその会社はチェックされましたが、このとき、特に通勤手当のことは言及されずに、通勤手当を含んでいない金額で算定基礎届が受け付けられて標準報酬月額が決定されました。ある従業員は標準報酬月額の等級範囲のギリギリの給与でしたので通勤交通費が加算されると、本来ランクアップするはずでした。

この会社は、従業員が自宅から直接、お客さんのところに訪問したり、お客さん先から帰宅したりする関係で、交通費は全てチャージにより精算していました。また、自宅から会社への通勤についても管理の簡便さから定期を購入せずにチャージですべて精算していました。こういった関係で給与明細には通勤交通費は掲載せずに給与とは別で交通費を支払うという処理を行っていました。

年金事務所の総合調査は調査する職員がどこまで厳密にチェックするかは、その職員によって違うこともありえますので、このようなことが通ったのでしょう。このようにすれば通勤交通費を含めずに標準報酬月額が計算できてしまう、ということを言っているわけではなく、年金事務所の現場ではこのようなことも起こりうるという一事例を記載してみました。調査する職員によってはキチンと指摘してくると思いますのでご注意ください。

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