賞与にかかる社会保険料

カテゴリー: 社会保険のハナシ

(投稿者:河野周輔)

現在では、会社から賞与の支給が行われると健康保険については11.69%、厚生年金保険については17.474%の率(労使合計)で保険料を支払わなければなりません。このように月給と同じような形で社会保険料を支払わなければならないようになったのは平成15年4月からですので今から11年前のことです。それまでは今のような高い健康保険料率、厚生年金保険料率で保険料の徴収が行われていなかったので月給は少なめにして賞与を多く支払うと、賞与は社会保険料を負担する必要がない分、社会保険料の節約になっていました。

平成15年4月から賞与について、月給と同様の社会保険料負担が行われることを「総報酬制」と言うのですが、それまではわざと月給を抑えて、その分賞与を多く支払うようにしていた会社も多かったのですがこの総報酬制が導入されることによって多くの会社で従来の給与と賞与の金額バランスが見直されることなりました。

ところで、平成15年4月からの総報酬制が始まるまでは、まったく賞与から社会保険料が徴収されていなかったというわけではなく今よりもずっと低い率で「特別保険料」という社会保険料が賞与から徴収されていました。これは、平成7年4月から平成15年3月までの期間で、健康保険・厚生年金合わせて1.8%でした(会社負担が1.0%でサラリーマン負担部分は0.8%)。このときも会社が従業員に支払った実際の賞与支給額(1,000円未満切捨)に料率を乗じて算出した保険料を納付するという仕組みでして、月給のような標準月額報酬のグレード当て嵌めはありません。

平成15年4月以降の「総報酬制」において、料率を乗じる金額が実際賞与支給額としているのは、この平成7年4月からの特別保険料の計算の方式を踏襲しているから、とも言えると思います。

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