元手なしで資本金を増加させる方法(その3)

カテゴリー: コンサルティング業の税務・会計

(投稿者:河野周輔)

利益剰余金の資本組み入れにより、どんなに資本金の額を増加させても、均等割の金額は増加しません。東京都の場合、資本金等の金額が1,000万円以下であれば均等割は70,000円ですが、利益剰余金の資本組み入れの結果、資本金の額が5,000万円になろうと、10億円になろうとも均等割は70,000円のまま増加しません。これは、均等割が決まる基準は、「資本金の額」ではなく「資本金の額」と定められているためです。「等」が付くと、利益剰余金由来の資本金の額は、資本金等の額からはマイナスされます。(法人税法施行令8条1項13号)

例えば、「資本金の額」が3,000万円だとして、このうち利益剰余金由来の金額が2,500万円含まれているとします。そうすると、「資本金の額」は3,000万円-2,500万円=500万円となり、1,000万円以下になりますので均等割の金額は70,000円となります。

一方、利益剰余金由来の資本金の額をマイナスせずに判定される制度もあるので、これには注意が必要になります。法人税法では中小企業向けの税優遇措置がありますが、これは「資本金の額」が1億円以下であることが求められます。利益剰余金を資本金に組み入れた結果、資本金の額が1億円超となってしまった場合にはこの優遇措置が受けられなくなってしまいますので優遇措置を引き続き受けたいのであれば1億円以下にする必要があります。

法人税(国税)に加えて、事業税(地方税)についても資本金の額が1億円超となった場合に外形標準課税と呼ばれる課税が追加で行われることとなり、資本金1億円以下の場合よりも税負担が増加します。資本金の額が1億円超と1億円以下では課税の行われ方が変わってくることに留意が必要です。

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