退職金で節税6

カテゴリー: 節税のハナシ

(投稿者:河野周輔)

小規模企業共済は法人と個人の節税効果が高いので、やるのが絶対的な善であると私自身、思っていました。ところが、この一連の記事を書きながら法人に残ったキャッシュによる運用益との比較をしないと本当にどちらが有利かがわからないのだなという発見がありました。

小規模企業共済をせずに、キャッシュを法人に残すのが良いかどうかは、本当に個々の法人の事情によります。前回の記事でキャッシュの運用益率がある程度出ないと小規模共済に負けてしまうということを書きましたが、キャッシュが潤沢にあったとしてもそれを商品や人に投資してリターンが得ることが難しい状況の会社なのであれば、やはり小規模企業共済の方が有利ですし、逆にキャッシュがあればあるほど新たな収益源を生み出せる会社は小規模企業共済なんかにお金を預けるのは収益のチャンスをそれだけ減らしていることになるのでもったいないということになります。(小規模企業共済は年間最大84万円と小さな金額ですが、小規模企業共済でなくとも、生命保険の解約返戻金を利用した退職金支払いについても同様です。)

所得税・相続税で個人への課税は強化されてきていますが、逆に法人税は今後も税負担が減少していくことになろうかと思います。昔と比べれば法人税の負担が少なくなってきていますので、負担が少ない分、どんどん法人税を払って会社にお金をのこしていこうじゃないか、そして法人でもっと稼ごうじゃないかという動きがマクロで見ると進んでくると思います。

自己資金となるキャッシュは、税引後利益でしか得ることができません。銀行への返済も、個人的な社長借入返済もすべて税引後利益の数字が作れて初めて返済できるものです。会社の自己資金力は、どれだけ法人税を支払ったかで決まります。法人税の負担が小さくなってきている今、法人税を積極的に支払う姿勢を見せる会社の方が、底力のある会社になるのではないでしょうか。

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