社長への給与を上乗せせずに、20年後に2,000万円を退職金として支払うようにすると、20年間会社の利益として法人税が課税されてしまいます。その結果、2,000万円から法人税額600万円が控除されて累計手取り額が1,400万円になってしまうので法人税が課税された分だけ退職金を支払うだけのキャッシュが減ってしまうように見えます。
ところが、この1,400万円の累計手取り額を法人が自由に運用できるという点が小規模企業共済に払い込む場合との相違点になります。小規模企業共済に払い込んだ場合は、払い込んだ掛け金は退職金として受け取るまでは自由に運用することはできません。すべて小規模企業共済に預け入れられてしまって手をつけられません。一方、小規模企業共済を払い込まない場合は、払い込まない分の経費減少額を法人の方で法人税が課税されてしまいますが課税された後のキャッシュについては法人で自由に運用できます。
そうすると、法人がどれくらいキャッシュを効果的に運用できるのかが問題になってきます。法人にキャッシュを残して、その法人が行う商売でうまく運用して利益を生み出すことができれば小規模企業共済に払い込むよりも法人にキャッシュを残した方が有利になるわけです。
キャッシュがあればあるだけ利益を着実に生み出せる商売であれば、下手に小規模企業共済に払い込むよりも、法人税を払ってでも法人にキャッシュを残した方が商売で殖やせますのでそちらの方が有利となるケースがあります。