所得税法の条文で、「○年」と「○年分」がどのように使い分けられているかを例として見てみます。
所得税法の第144条では青色申告を申請する手続について定められていますが条文は次のようになっています。
第144条 その年分以後の各年分の所得税につき前条の承認を受けようとする居住者は、その年3月15日まで(その年1月16日以後新たに同条に規定する業務を開始した場合には、その業務を開始した日から2月以内)に当該業務に係る所得の種類その他財務省令で定める事項を記載した申請書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
少し噛み砕いてみますと、「平成26年分以後の、各年分、つまり平成26年分や平成27年分や平成28年分などの所得税申告について青色申告の承認を受ける場合には、平成26年3月15日までに申請書を税務署に提出しなければならない」という内容が書いてあります。最初の「その年分以後の各年分」は、抽象的な書き方ですが、所得税計算の対象となる期間を示しており、所得税の計算単位となる各1年間のことです。「その年分」は、今現在の年分(平成26年分)であり、「以後の各年分」は今現在の年分とその翌年以降の年分(今年であれば平成26年分、平成27年分、平成28年分・・・・)を示します。それぞれ、所得税計算を行う単位期間についての説明です。
そして、青色申告の承認を受けるための期限となる日は、「その年3月15日」となり、ここは時点を表す「年」になります。「年分」にはなりません。