消費税の簡易課税の仕組み(その1)

カテゴリー: コンサルティング業の税務・会計

(投稿者:河野周輔)

この「コンサルティング業界の税務」カテゴリではコンサルティング業界に関係のある税務について記載してみたいと思います。ただし、ここで言うコンサルティング業というのは1人でフリーランスで活動されている方を想定しています。今回は簡易課税について書きますので、売上高が年間5,000万円(税込)以下の規模の方が対象です。毎月の売上が400万円(消費税込)であれば年間5,000万円いきませんので消費税計算で簡易課税を選択することができます。

事業者(法人と個人事業主どちらも)は売上から預かった消費税を国に納める義務があるわけですが、納税額を計算するときの計算方法として次の2種類があります。

  • ・原則課税
  • ・簡易課税

例えば、月216万円(税込)を売り上げるコンサルタントが納税する消費税はそれぞれ、次のようになります。

  • 原則課税:216万円×12×8/108=192万円
  • 簡易課税:216万円×12×8/108×50%=96万円

簡易課税の場合、原則課税の半分の96万円を国に納税することになります。

このように簡易課税の場合、納税する消費税が上記例ですと半分で済み、納税せずに済んだ金額(96万円)のことを「益税(えきぜい)」といいます。売上の小さな規模の会社は難しい計算方法である原則課税ではなく、簡単な計算方法である簡易課税で計算していいですよ、というのが簡易課税が存在している理由です。これにより、上記例では原則課税に比べて簡易課税の方が96万円トクするわけです。

簡易課税によって消費税確かに96万円トクしたのですが、これは損益計算書上、利益として認識されますので、簡易課税は「96万円の益税に法人税が課税」されてしまいます。

法人税率がざっくり30%として、簡易課税で得た96万円に30%の法人税がかかります。よって96万円×30%=28.8万円の法人税がかかります。消費税は96万円浮いたけども、法人税は28.8万円余計にかかるので、差引き96万円-28.8万円=67.2万円、簡易課税により儲かったという計算になります。

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