(投稿者:河野周輔)

この従業員給与の仕掛品計上は、決算で気をつけなければならない論点です。なぜ決算であるかというと、事業年度の途中でこのような仕掛品が生じたとしても決算月が到来するまでの間に仕事が完了していれば結局は決算では考慮する必要がないためです。

たとえば、決算日がH26.8.31であるとして、H26.2.1~H26.3.31の2ヶ月間のコンサルティング契約があったとします。この場合もこの仕事に従事する従業員の2月給与は仕掛品計上するのが2月の会計処理としては正しいわけなのですが、決算日がH26.8.31であるため2月給与を仕掛品処理せずに給与処理してしまったとしても1年間の決算報告書では結果的には正しい処理となります(2月だけ切り出した損益計算書では、売上なし・給与ありの関係になりますので誤りですが、この誤りは対外的に是正が求められるものではないため実害なしです)。

事業年度の途中に、仕事が完了したものについては1年間の決算書で見ると結果的に正しい処理となりますので、気をつけるべきは決算日時点での仕事が途中段階になっている契約です。「仕掛品」という名が表す通り、仕掛途中の仕事について気をつけなければなりません。この論点は、給与として経費計上していたものを仕掛品として訂正しますので、経費が多すぎた処理でした。税務署にこれを発見されてしまうと「経費が多すぎでしたね→法人の利益がその分増えますね」で法人税の修正申告(追加納税)が生じてきてしまいます。

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