(投稿者:河野周輔)

個人住民税における都道府県又は市区町村に対する寄付金の税額控除(ふるさと納税)の計算の際、控除限度額の枠が10%から20%に広がることになりまして、ふるさと納税の恩恵が従来よりも受けやすくなります。平成27年4月1日以後の寄付から適用されます。

控除限度額の枠が広がるというのは、たとえば住民税を年間20万円支払っている人については、これまで最高で20万円×10%=2万円までしか税軽減が行われませんでしたが、これが平成27年4月1日以降は20万円×20%=4万円まで控除が受けられるようになり、税軽減の部分が2万円拡大することになります。


(注1)上記は控除限度額の拡大の影響を単純化して説明したものであり、寄付による所得税・住民税のトータル税軽減額とは異なります。
(注2)寄付金控除は必ず2,000円の自己負担金額が生じます。
(投稿者:河野周輔)

所得税法の条文で、「○年」と「○年分」がどのように使い分けられているかを例として見てみます。

所得税法の第144条では青色申告を申請する手続について定められていますが条文は次のようになっています。

第144条 その年分以後の各年分の所得税につき前条の承認を受けようとする居住者は、その3月15日まで(その1月16日以後新たに同条に規定する業務を開始した場合には、その業務を開始した日から2月以内)に当該業務に係る所得の種類その他財務省令で定める事項を記載した申請書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

少し噛み砕いてみますと、「平成26年分以後の、各年分、つまり平成26年分や平成27年分や平成28年分などの所得税申告について青色申告の承認を受ける場合には、平成26年3月15日までに申請書を税務署に提出しなければならない」という内容が書いてあります。最初の「その年分以後の各年分」は、抽象的な書き方ですが、所得税計算の対象となる期間を示しており、所得税の計算単位となる各1年間のことです。「その年分」は、今現在の年分(平成26年分)であり、「以後の各年分」は今現在の年分とその翌年以降の年分(今年であれば平成26年分、平成27年分、平成28年分・・・・)を示します。それぞれ、所得税計算を行う単位期間についての説明です。

そして、青色申告の承認を受けるための期限となる日は、「その年3月15日」となり、ここは時点を表す「年」になります。「年分」にはなりません。

(投稿者:河野周輔)

税務の仕事をしていると、やたらと「○年分」という文言の書類をみかけます。扶養控除等申告書には、タイトルに「平成27年分」というように書いてありますし、源泉徴収票や所得税申告書の用紙にも、「平成27年分」というように「○年分」と記載してあります。

「○年」と「○年分」というのは意味合いが異なっています。「○年」は時点(点)を表し、「○年分」は期間(線)を表します。税法の条文上は「時点」と「期間」を厳密に区別しており、時点を意味するときは必ず「年」と表現し、「期間」を意味するときは必ず「年分(または年中)」が使われるように条文が作成されています。

日常会話では、「平成26年」は意識せず平成26年の1年間という期間の意味で使うこともありますが、税法条文では時点は「年」、期間は「年分(または年中)」を使い分けています。

税理士試験の税法科目を勉強すると、税法条文をある程度暗記することになるのですが、特に所得税法は1月1日から12月31日までの期間の税金を計算する暦年課税ですから「その年分」という用語がしょっちゅう登場することになり、勉強を進めていくと、自然と「年」と「年分」の区別が体に染み付きます。

(投稿者:河野周輔)

来年の今頃、会社から記載を依頼される平成28年分の扶養控除申告書は、その様式がH27と比べて大きく変わることが予想されます。平成28年より、個人の所得税申告には「個人番号(マイナンバー)」を記載することが求められ、それに伴い所得税計算の基となる扶養控除申告書にも、給与所得者本人の個人番号(マイナンバー)を記載する欄が設けられることになります。

平成28年分の扶養控除等申告書の様式はまだ公表されていませんが、既に公表されている平成28年以降の源泉徴収票の様式を見るに、氏名の後ろか前に個人番号を記載する欄が設けられるのではと思われます。

(投稿者:河野周輔)

年末調整の作業の季節になってきました。従業員の方々は、会社から扶養控除等申告書と、保険料控除申告書の記載を依頼されている頃だと思います。

さて、扶養控除等申告書と保険料控除申告書の用紙のタイトルには、「○○年分」という文字が記載されています。ここに、年が記載されているというのは皆さんご存じでしたでしょうか?私は、税理士業界に入るまで、ここに年が記載されているということを全く意識していませんでした。税理士業界に入ってはじめて、「○○年分」という記載があり、その「○○年分」に意味があるということを知りました。

今の時期に会社から扶養控除等申告書(マル扶:まるふ)と保険料控除申告書(マル保:まるほ)を渡されて、記載を依頼されるわけですが、マル扶とマル保のタイトルにある「年分」は、実は同一の「年分」ではありません。マル扶は平成27年分で、マル保は平成26年分です。マル保はまだ平成26年であるのに、マル扶は来年の平成27年の用紙を会社から渡されます。

これはなぜかと言いますと、マル扶については所得税法の規定により、従業員は会社に「年明け(1月)最初の給与が支払われるときまで」にマル扶を提出しなければならないと定められているからです。マル扶についてはH26マル保を書くタイミングと一緒にH27用のマル扶を提出して、「年明け(1月)最初の給与が支払われるときまで」の期限に間に合わさせています。

なお、このH27マル扶を確認して、前回記載したH26マル扶(H25末に記載しています)から引越をして住所が変更されていないかや、扶養家族の変更がないかを確認してH26末の現状情報がどうなっているかを点検し、変更があるようであればH26の年末調整にその変更を反映させます。これは、H27マル扶に記載されている住所や、扶養親族の情報は、H26年末時点の最新情報であり、年末調整はH26年末時点の最新情報をもって計算を行うためです。(年末調整は、その年最後の給与を支払うときに行いますので、扶養控除や配偶者控除は、最後の給与を支払う日の状況で判断することになります。厳密には12月31日時点の状況での判断となります。)

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