平成27年度税制改正大綱~結婚・子育て資金贈与の非課税【減税】

カテゴリー: 相続税のハナシ

(投稿者:河野周輔)

先日は、教育資金の一括贈与非課税について書きましたが、教育資金贈与に加えて、平成27年4月1日より「結婚・子育て資金の一括贈与にかかる贈与税の非課税」制度が創設されます。

贈与税の非課税の手続を受ける手順は、教育資金贈与のものと同じになるようです。この制度で、非課税となる支払いは、結婚式費用、新居の住居費用・引越費用、出産費用、不妊治療費用、子の保育料などになります。

子・孫ごとに1,000万円までが非課税になります。ただし、結婚に際して支出する費用については300万円までしか非課税となりません。

結婚式等の費用が300万円とすると、残りの非課税枠は700万円です。700万円を非課税で使い切れるとすれば、新居の住居費用でしょうか?新居を家賃15万円(月額)で借りたとすると約4年で700万円を消費できます。ただし、もしかすると「新居」は結婚してから○年以内という縛りが入る可能性があり、仮に「新居」の定義が1年以内だとすると、15万円×12=180万円しか消費できませんので節税効果が低くなってしまうかもしれません。いえ、そもそも新居の住宅費用は家賃ではなくて引越代のみが対象となる可能性もあるでしょう。そうなると節税ために使える費用がそれほどはない、ということになってしまいます。

あと、教育資金一括贈与と大きく異なる点がありまして、結婚・子育ての方はあげた人が死亡してしまうと、死亡した時点で、使い残しの金額があげた人の相続財産に取り込まれてしまうという点です。教育資金の方は、あげた人が死亡しても、あげた人の相続税計算ではなく、後になってもらった人の贈与税として税計算が行われますが、結婚・子育ては、あげた人の相続税計算が行われるという点が両者の違いです。

このように結婚・子育て資金贈与は、あげた人の死亡時点での未消費残高は相続税計算が行われますので、教育資金のように一括贈与額を相続財産から外せません。ですので暦年による連年贈与で毎年110万円お金をあげるのと効果はたいして変わらないようと思えますが、メリットして考えられるのは孫への贈与でも贈与者死亡時の相続税計算で、2割加算が行われない(大綱45ページ)ということと、贈与者(祖父母・親)が一括して金融機関に払込みますので、あげる側からすれば必要な都度都度、お金を動かす手間が省けるということ、贈与したお金を遊興費に使われないことでしょうか(逆にもらう側は、領収書の持参の手間が発生してしまいますが)。メリットを魅力に思える場合には検討してみてもよいでしょう(個人的には、魅力的には感じませんが)。

↑トップへ