コンサルティング業は在庫を持たない商売なのに、どうして仕掛品勘定が登場するの?と疑問に思われるかもしれませんが、生じることも起こりえます。
具体的な例を挙げてみます。決算がH26.7.31月である法人で、受注したコンサルティングの仕事の契約期間がH26.7.1~H26.8.31でした。受注金額は216万円(税込)です。契約により、H26.8.31にコンサルティングレポートを納品することで業務が完了する契約になっています。この場合、売上高の計上は仕事が完了したH26.8.31になります。一方、会社としてはこのコンサルティング業務に従事した従業員に毎月給与を80万円支払うものとします。
そうするとH26.7月については、売上は0である一方、従業員給与を80万円支払ったことにより何も考慮しないと80万円の赤字になってしまいます。ただし、80万円の赤字とする処理は誤りであり、商品在庫の考え方と同様にこの7月の80万円の給与は売上が実現するまでは「棚卸資産(勘定科目は仕掛品)」として経費にしないのが会計理論的には正しい処理となります。
仕掛品/期末仕掛 80万円(7月分給与)・・・期末仕掛は経費のマイナスする科目です
そして、翌期のH26.8.31に、次の仕訳が行われることにより売上と経費が確定することになります。
売掛金/売上 216万円
期首仕掛/仕掛品 80万円(7月分給与)・・・期首仕掛は経費をプラスする科目です
給与/現金 80万万円(8月分給与)
↑の3本の仕訳から利益を計算すると次のようになります。
税抜売上200万円-80万円(7月給与)-80万円(8月給与)=40万円の利益