簡易課税の益税はバカにできない

カテゴリー: コンサルティング業の税務・会計

(投稿者:河野周輔)

課税仕入れの少ない事業者は、消費税率が上がると益税額も増加するという説明を前回の記事で行いました。極端な例の方がわかりやすいので、極端な例を出します。コンサルティング業で、課税売上高が税込で5,000万円で、課税仕入高が0であった場合の消費税納税額は次のとおりです(計算式は簡略化したものです)。なお、益税額を多くするために消費税率は10%にしてしまっています。平成27年10月1日から消費税率は10%になることが予定されています。

 原則課税:5,000万円(税込)×10/110=454万円
 簡易課税:5,000万円(税込)×10/110×50%=227万円

原則と簡易の差額は、227万円ですので簡易課税は227万円を益税として得られることになります。これを非常においしいと感じる経営者は、簡易課税でmax227万円益税として得られるのであれば会社をもう1つ作ってその会社でも益税を得ようとするかもしれません。2社同じことができれば益税額は倍の454万円です。10年続けることができれば4,540万円の累積益税になります(ただし法人税の税引前です)。

益税額が2倍になるのはメリットですがデメリットもあります。

(デメリット)
 ・1社よりも税務作業が増加するので税理士コストが増える
 ・簡易課税から外れないように売上をコントロールする必要がある
 ・税務調査で否認されるリスクがある(2社は一体不可分の会社であるとみなされるリスク)
 ・将来できなくする封じ込めの法改正が行われる必要がある

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